(ドアスタビライザーに関する記事はこちら↓)
https://vellfiretranpo.blog.shinobi.jp/Entry/54/https://vellfiretranpo.blog.shinobi.jp/Entry/60/上の記事で書いたように、このドアスタビライザーというパーツの原理は、ドアの隙間がボディーの変形によって広がった時に、クサビ状のパーツがスプリングの力でスライドすることによりドアの隙間に食い込み、クサビを打ち込んだのと同じ効果で剛性アップにつながる、というもの。
これ、TRDのサイトを見ても「ドアの隙間をゼロにする」というような曖昧な表現になっているので、最初それを見ても、隙間を無くすだけでそんなに劇的に剛性がアップするものなのだろうか‥‥‥!?と疑問を感じたのだが、ヴェル様に取り付けられた現物を見て「クサビ効果」の原理がわかった時は「なるほど!!」と禿しく納得できたものである。
実際の走行時にドアスタビライザーの動きを撮影しましたのでご覧ください↓
https://youtu.be/VY44NfnVXm8世の中にはこの「ドアの隙間をゼロにする」という文言だけを見て、そこに隠された「クサビ効果」に気付かずに「これなら自作できるじゃん」と思ってしまう「自作バカ」な方が多数存在するんですねぇ。
最初に「ドアスタビライザー」でググって「ドアスタビライザー自作しました」という見出しを見た時は「スゲーなおい、あのスライド機構を自作できる人がいるんだ???」とビックリしてしまったが、その内容を見ると、なんと!!「カグスベール」をドアのストライカー近くに貼ってたり、薄いゴムシートを何枚も貼って隙間を調整したり――― そんなので剛性アップするわけないだろ、って感じで笑ってしまいました。
そして驚いたことに、同じような事をやって自慢げにアップしてる人の多いこと多いこと。まさにネズミ算式に増殖する「自作バカ」恐るべし―――。
これと同じように、物事の本質を見極めずに表面上のカタチだけを見て自作し、それがネット上に増殖している例として「ノロジーホットワイヤー」がある。
↑これがその「ノロジーホットワイヤー」。
このように、極太のアースコードが印象的なプラグコードである。
この点火系チューニングパーツは、今から20年ほど前に当時私が乗っていたバイクに付けてみたところ、明らかにスパークプラグの火花が強力になり、低中速のトルクアップをはっきり体感できたという優れモノ。
見てのとおり極太のアースコードはいかにも大電流を通しそうで、これがこのパーツの「キモ」と思われがちだし、メーカーの説明書にも「芯線に巻かれた極太アースコードが蓄電効果を生み、強力なスパークを発生する」みたいなことが書いてある。
さぁ、こうなると「自作バカ」諸氏が黙って見ているわけがない(笑)。早速平編み銅線と圧着端子などを買い集めてノーマルのプラグコードに巻き付け「自作ノロジー作っちゃいました」とネット上にアップしまくる結果とあいなった。
ところが――― 残念なことに、芯線にアースを巻き付けただけでスパークが強くなったりはしません。
そりゃそうでしょ。そんな簡単な構造で火花が強くなるんだったら、メーカーがノーマル状態でそういう構造にしてますよ。
いやいや、アース線を極太に替えているので大電流が流れるようになり、火花は強くなりますよ‥‥‥と反論する人もいるかもしれませんが、プラグコードに流れる電流は、電圧は何万ボルトという高圧だけど、電流としては数ミリアンペアとかごく僅か。こんな何十アンペアも流せるような太いアース線にしても何の意味もありません。
では、ノロジーホットワイヤーの原理の「キモ」はどこにあるか、というと‥‥‥
それは「芯線」の構造にあったんですねぇ。
↑ご覧のとおり芯線は極細の導線をコイル状に巻いてあるのです。
構造的には、直径2mmほどのファイバーに極細(直径0.1mm)の芯線を巻き付け、芯線同士が接触しないよう薄いシュリンクチューブで固定しているのです。
私は電気工学は専攻していないので詳しい理論はわからないのですが、このコイル状芯線の周囲をアースで囲めば誘導起電力が発生するのでしょう、たぶん(^^;。
どうですか、自作マニアの皆さん。「ノロジー自作しました」というならここまで真似しなくっちゃ(笑)。
しかし「思い込み」というのは恐ろしいもので、その構造じゃ効果が得られないはずの「自作(偽)ドアスタビライザー」や「自作(偽)ノロジーホットワイヤー」でも、自作した本人には「ハンドリングが良くなった」とか「パワーがアップした」とか効果が感じられるものなんですねぇ~~~(^^;。
~「自作バカ」番外編~
さて、話が逸れてしまいますが最近のジェットエンジンの中には、エンジンナセル(カウル)の後端がギザギザになっているものがあります。
↑これはボーイング787ですが、このエンジンカウル後端のギザギザのことを「シェブロンノズル」といいます。
なんでも、このギザギザ形状によってジェットエンジンの騒音が低減されるというのです。
で、このシェブロンノズルについてネットで調べている時に発見してしまったんです「シェブロンノズル自作バカ」を―――。
そのお方はなんと!!クルマの排気管に、一端をギザギザに切ったブリキ板を巻き付けて「自作シェブロンノズルで○○○(←クルマの名前)の排気音を低減」って‥‥‥(絶句)。
もう何と言っていいやら――― いろんな気流が内と外を高速で流れるジェットエンジンのカウルと、クルマのレシプロエンジンの排気管を同列に並べて自作って‥‥‥ もう「猛者」すぎて尊敬しちゃうかも???
というわけで今回は、ネット上に溢れる莫大な数の情報の中には「ガセネタ」も多数含まれているので、常日頃から「物事の本質を見極める能力」や「ホンモノを見分ける嗅覚」を研ぎ澄ましておきましょうね、というお話しでした。
‥‥‥そうです。このブログに書いてあることも「嘘っぱち」ばかりですよ(笑)。