今回はカーオーディオではなくホームオーディオのお話。20年間私の作業場を音楽で満たしてくれていたONKYOのプリメインアンプ A-925がついに逝ってしまった。
このプリメインアンプ、20年前に店舗を移転した際、どうせ多額の借金をするのだからオーディオもちょっと良いシステムにしちゃえ――― っていう感じで、半分ヤケクソで購入した「安物ではない」アンプなので、DIATONEのスピーカー・DS-1000Zとの組み合わせで、なかなか重厚かつ繊細な音を出してくれていた。
昔からオーディオ機器は「重いもの」イコール「音が良い」みたいな不文律?があり、このアンプもその流れで約15㎏という重量級の製品で、徹底した音への拘りからインプットセレクターをリモコンで操作する場合、アナログ式のロータリースイッチをモーターで駆動して切り替えるという、手の込んだ方式が採用されていた。
だが、その拘りのロータリースイッチがこのアンプの最大の弱点であり、私のA-925もそこが致命傷となり音が出なくなってしまった――― なんとも皮肉なものである。
↑これがそのインプットセレクター部(自分で修理を試みようとバラしてみたがとても無理で諦めた)。
以前からここの接触不良?で右スピーカーからの音が途切れることがあり、そんな時はこのつまみをガチャガチャッと左右に強く回してやると直っていたので、いつものようにちょっと激しく動かしたところ、リモコンでの操作ができなくなると同時に音がまったく出なくなってしまったのだった‥‥‥。
まぁ20年も使用してきたからもう寿命なんだろうけど、最近ヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムを聴くようになって「音楽鑑賞」に目覚めた?こともあり、たま~に大音量でいい音のCDを聴きながら、腹に響く重低音から繊細な響きまで見事に鳴らし切るこのシステムの良さを再認識していただけに、メーカーに修理を依頼しようかとも考えたものの、修理に出しているあいだ「音楽無し」の仕事場になってしまうのは耐えられないということで、とりあえず安物でもいいからアンプを新調しようということになった。
で、ネット上でコストパフォーマンスの高そうなプリメインアンプを調べていたら、DENONのPMA-390REに行き着いた↓
DENONのPMA-390シリーズは、昔からコストパフォーマンスに優れたプリメインアンプとして高評価を得ていて、実はわが家のリビングルームのオーディオシステムには、このシリーズ2代目の「PMA-390Ⅱ」が採用(笑)されているのだ。
(仕事一筋の私としては、リビングルームで音楽鑑賞などしているヒマもないので、このシステムはほとんど聴いたことがないのだけどね)
そのPMA-390シリーズの最新モデル・PMA-390REはプリメインアンプのベストセラーで、価格も2万円台とお手頃だったので「即ポチ」。翌日に現物が到着した。
う~~~ん、やはり安っぽさ溢れるこの仕上げ。重さもA-925の半分以下で重厚さに欠けるが、価格を考えると致し方ないところか。
早速システムに接続して聴いてみると、中高域の鳴りっぷりと音場感は申し分ないのだが、やはり低域、特に空気を震わせる重低音のパワーが足りないと感じてしまう。
A-925の時は、大音量で鳴らすと床に響く重低音を出してくれたDS-1000Zだが、PMA-390REのパワーではその30cmウーファーを駆動し切れていない印象だ。
それではと、BASSつまみを+に回してみるが、肝心の重低音は変わらず、その上の低音が増強されてしまうためブーミーな音となってしまう。これではヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムの方が圧倒的に高音質だ。
「失敗した‥‥‥」そう思った私は、PMA-390REを返品してもっと高級なプリメインアンプを買おうかとも思ったが、所詮は作業場のBGM的なシステム、とりあえずこれで我慢することにしたのであった。
その後、毎日朝から夜中までオーディオを鳴らし続けているおかげで?この新品アンプもエージングが進み、購入当初よりは若干いい音を出してくれるようになった。
で、この記事を書くことを思いついた私は、A-925をCDプレーヤー・CDP-CX200Fの上に置いて写真を撮ったのだが、撮影後もこの場所が収まりがよく邪魔にもならないので、この場所が壊れたA-925の置き場所となってしまった。
ところがだ。この状態でCDをかけたところ、ウソのような話だが、その音が激変したのである。
まず、音の輪郭がはっきりして定位感が向上。さらに、ややブーミーな鳴り方だった低域もグッと引き締まり、全体的にメリハリ感が格段にアップしたのである。
ローエンドの空気を震わす感じだけはまだ若干弱いが、それ以外の音はこれが2万円台で買えるアンプの音なのか―――!?!?と驚くほどの鳴りっぷりに激変したのである!!
昔からオーディオの世界には「オカルト的」な話が幅を利かせている。
ここでいう「オカルト的」とは――― そうだなぁ、「科学的に根拠がない」といったような意味合いになるだろうか。
例えば「ケーブルを替えると音が変わる」というオーディオ界での常識も、ある意味オカルトっぽい話であり、それ以外にもこの手の話には枚挙にいとまがないのがオーディオの世界なのだ。
逆に言うと、オーディオの世界に足を踏み入れ「良い音」を追求していくと、誰もがこの「オカルト的」なものに出会ってしまう――― そう言ってもいいだろう。
そしてオーディオの世界では「振動は良い音の大敵」というのが合言葉のようになっていて、その振動を抑えるための「オカルト的なグッズ」が無数に存在し、その価格帯もピンからキリまであって、その上限の価格は「目ん玉が飛び出るほど」の超高額だ。これはもう新興宗教における「壺」と同じ存在と言ってもいいかもしれない(笑)。
で、今回の話では、プラスチックの塊りのような構造で振動対策をほとんど施していないように思えるCDプレーヤー・CDP-CX200Fの上に、約15㎏もの重量があるA-925を置いたことによって、CDプレーヤーの振動が見事に抑えられ、上記のような劇的な音の変化につながったのであろう。
これを読んだ方の中には「え~!?そんなバカな話、あるわけないでしょ!?!?」と思う方もいるかもしれない。
それでも実際に音が劇的に変化したのは紛れもない事実なのです。さすがは高音質に拘った構造のA-925、アンプとしての寿命は尽きても「振動抑制の重り」として、CDプレーヤーの上で今もいい仕事をしてくれております。
‥‥‥というわけで、こんな「オカルト的」な話を踏まえた上で、今後もヴェル様のオーディオの話を、さらに「暴走気味」に進めて行きたいと思っております(^_-)-☆