最近、30系ヴェルファイア/アルファードのJBLプレミアムサウンドシステムについてググってここを訪れる人が多くなっているので、ネット民の皆様はどんなことを書いてるのか気になって私もググってみたのだが、相変わらず「音が良くない」と書いてる人が多く、中には安物のアクティブスピーカーだか何だかを車内に追加して「音が良くなった」とおっしゃってる猛者もいて、これにはもう驚きを通り越して笑ってしまったのだけど、そんなのをJBLプレミアムサウンドシステムの音創りを担当した方が見たら‥‥‥たぶん気絶してしまうんじゃないかな(笑)。
それにしても、この見事な前方定位の音場と、ローエンドまで伸びる豊かな重低音の心地良さが分からないなんて、とても不幸なことだと思うんですけど、いったいどんな音楽を聴いているんでしょうね!?!?
―――というわけで、今回取り上げるのも「音が良い」このCDです↓
1995年にリリースされた杏里(←坂口じゃないよ(笑))の2枚組バラード・ベスト「OPUS21」だ。
杏里は1983年のアルバム「Timely!!」でハマって聴き始めたのだけど、当時はどちらかというとアイドルに近い立ち位置だったのが、’88年の「BOOGIE WOOGIE MAINLAND」あたりから「LA録音のブラックコンテンポラリー」的な感じが強くなってきて、それがまた私の嗜好にバッチリ合い、ニューアルバムがリリースされるとすぐに「貸しレコード屋」で借りてきてカセットにダビングして聴いていたものである(←時代を感じるなぁ‥‥‥)。
で、この「OPUS21」、ベスト盤とは言っても全曲ニューレコーディングの「リメイク盤」なのだが、まずその参加ミュージシャンの顔ぶれがもう「スゴい!!」の一言だ。
もうLAの一流スタジオミュージシャンが目白押しで、CDのクレジットを見てどんなミュージシャンが参加しているかを確認するのが趣味(?)の私としては、この時点でもう失神寸前である。
そして、ギターに「ラリー・カールトン」の名前を見つけ、とうとう失禁してしまった‥‥‥というのはウソだが、ラリー・カールトンと言えばジャズ・フュージョン界ではリー・リトナーと人気を二分すると言ってもいいほどの偉大なギタリスト。そしてリー・リトナーと言えば―――2005年に杏里との婚約を発表!! あれにはホント驚いたものだが、その後婚約を解消。ま、いろいろあったんでしょうけど、その前にも杏里は離婚を経験していて、その元ダンナはついこの間詐欺の容疑で逮捕されたりもしていて、いわゆる「男運が悪い」ってやつでしょうか。でも、そういういろんな経験を重ねたことが、シンガーソングライター・杏里にとってはプラスになっているのではないか――― とも思えるわけで‥‥‥
また話題がそれてしまったが、話をOPUS21に戻そう。
ベスト盤でよくある例として、昔のヒット曲をリメイクして収録している場合、聴くほうとしては「なんだよ、昔のままのあの曲が聴きたかったのに‥‥‥」とガッカリさせられることがよくあるが、この「OPUS21」に関しては、全くそれが当てはまらない。
LAの一流ミュージシャンの演奏に杏里のしっとりとしたヴォーカルが重なる世界は「スムース・ジャズ」というのだろうか、まさに極上の「大人の音楽」に仕上がっているという印象だ。
最初これを聴いたのは6代目ハイエースの時で、全体を通しての音の印象としては、広い音場に各楽器がしっかりと浮かび上がり、杏里のヴォーカルも自然な感じで中央に定位するスッキリとした音創りで、もちろんいい音ではあるのだが、それよりも楽曲の良さと演奏のクオリティの高さに心を惹かれる、という印象だった。
そんな感じで何度も聴いていたこのアルバムの「凄さ」を再認識したのは数年前、先代アル様の純正オーディオで聴いていた時のことだった。
ちょうどその頃私は、50年以上生きてきてようやく「ホンモノ」と「ニセモノ」、「一流」と「二流」の違いをなんとなく直感的に嗅ぎ分けられるようになった気がしていたのだが、そんなある日、先代アル様のオーディオをランダム再生状態にして聴いていた時に、このOPUS21の中の一曲が流れてきた瞬間「ビビッ」ときてしまったのだ。
その時の感覚を表現するのは難しいが、このCDから何かとてつもないエネルギーが放出されているように感じたのだ。私は興奮気味にこのアルバムを最初から聞き直し、杏里のヴォーカル、そして参加ミュージシャンのプレイから放たれる「一流の空気感」の凄さに改めて感動させられたのであった。
―――またまた前置きが長くなってしまったが、いよいよこの「OPUS21」をJBLプレミアムサウンドシステムで聴いてみることにしよう。
Disc1の1曲目「砂浜」
いきなりオーディエンスの拍手から始まる、ライブハウスでの「一発録り」のようなテイク。
オリジナルは1982年の作品で、当時は杏里もまだ若くそのヴォーカルも青かったが、この新録バージョンはジャジーなテイストで完全に「大人の音楽」。
バディ・ウイリアムスのゆったりとしたドラミングの、ゆるく張られた革が震える様子や、ディーン・パークスのアコースティックギターの弦の響きが生々しく、中央に定位する杏里のヴォーカルはあくまでも自然な感じで、程よく力の抜けた感じが心地良い。
2曲目「ONE」
一転してストリングスを加えた壮大なスケールの音場が拡がり、そこに杏里のしっとりとしたヴォーカルが中央から響く。
杏里のヴォーカルは淡々としていて押しつけがましくないのだが、それゆえにこういう悲しい曲調ではその歌声が一層心に染み入ってくる。
3曲目「霧雨に消えてゆく」
2曲目と同様の音場にシンセサウンドも加わってより豪華な音創りの中、杏里のヴォーカルが冴える。
バディ・ウイリアムスのドラムとメルヴィン・デイヴィスのベースが力強いリズムを刻むが、その重低音もしっかり再現されて迫力ある音創りだ。
4曲目「WHO KNOWS MY LONELINESS?」
再びオーディエンスの拍手から入るライブハウス一発録り風の音場に戻るが、1曲目との違いはギタリストがラリー・カールトンになっていること。
拍手が終わるとカールトンのアコースティックギターから入るが、さすが「名人芸」といった感じの弦捌きを聴かせてくれる。そして、そのプレイに呼応するかのように他の参加ミュージシャンも素晴らしい演奏で応え、そこに杏里のヴォーカルが堂々と加わる。
実際に「一発録り」なのかどうかは分からないが、聴いているとまるで各ミュージシャンがアイコンタクトをしながら競演しているのが見えるようだ。
5曲目「SHOO-BE DOO-BE MY BOY」
4曲目がスパッと終わり、間を開けずに同じ音場でこの曲に入る。このあたりもライブハウスで聴いてる感じにさせてくれるが、前曲では右でアコギを弾いていたカールトンの位置が左に変わり、手に持つのはエレキギターに変わっている。
杏里のヴォーカルにブラックテイストたっぷりのバックコーラスが絡む「杏里ワールド」の真骨頂といったところ。ホーンセクションの歯切れの良さも素晴らしい。
‥‥‥とまぁこんな感じで、どの曲も素晴らしくって、全曲この調子で解説が書けてしまうのだけど、誰もついてこれなくなってしまうのでここらへんでやめておこう。
総評的には、このアルバム全体に言えることだが全帯域にわたってバランスの良い音創りで、各楽器の分離や定位などの音場感が素晴らしく、ボリュームを上げて聴くことによってさらに音の良さが実感できるし、音を詰め込み過ぎていないので大音量で聴いても心地良く、決してうるさく感じることはないが、低域は40Hz以下の空気を震わす成分もたっぷり含まれていて、耳からだけでなく身体からもこの重厚なサウンドを感じ取ることができる。
ただ、超低域の再生に難があるシステムではこの空気感を再現するのは難しいだろう。この点に関しては、さすがはJBLプレミアムサウンドシステム!!という感じだ。
そしてこのアルバム、音の良さだけではなく、参加しているミュージシャンたちの超一流のプレイがたっぷり聴ける(もちろん杏里のヴォーカルもその中に含まれる)、という点でも一級品なのだが、杏里と共同プロデューサーとしてクレジットに名を連ね、収録曲のほとんどのアレンジを担当している小倉泰治がこれまた実にいい仕事をしている。
―――これはもう杏里&小倉泰治の「チーム杏里」(坂口じゃないよ←しつこい!!)の他のCDも要チェックだ!!
~~~おまけ~~~
そういえばこのアルバム、2枚組ではなくもう1曲「8cmCD」が付いてる「3枚組」だったことを忘れてた(ーー;)。
先代アル様のオーディオには「8cmCD用アダプター」が付属してたから聴けたけど、ヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムにはそんなもの付いてないから、聴くことができないんですけど!?!?
―――なにせ1995年のリリース。やはり時代を感じさせますねぇ(^^;。
今からもう20年以上も前、SHM-CDもBlu-specCDもない時代に、普通のCDでこの高音質とは―――ちょっと驚異的かも。
それにしても、こんな素晴らしいCDが、中古品といえども「1円」で売られてるってぇのは‥‥‥ちょっと複雑な心境だねぇ???