エージングも済んで、ヴェル様の車内を心地良いサウンドで満たしてくれているJBLプレミアムサウンドシステムだが、実際にこのシステムのオーディオ特性はどんなものになっているのだろうか。
というわけで、今回はこんなCDを用意した。
「カーオーディオ パーフェクトセオリーブック サウンドチューニングマスター」という本の付録の調整用CDである。
その収録内容は、というと―――
こんな感じの収録内容になっている。
JBLとTOYOTAの音職人がバッチリチューニング済みのヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムの場合、ユーザーが調整できる余地はもうほとんど残されていないので、調整というよりはこのCDに収録された信号音などでその仕上がりを確認させていただく、という意味合いが強い。
まず、トラック02~11はスピーカーの配線が正しく接続されているかどうかの確認用で、ヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムの場合もちろんすべて合格(笑)。
トラック12~14は「ビビリ確認トラック」だが、200→20Hzのスイープ音再生時に助手席ドア付近から軽いビビリ音が出ることを確認。
これについてはトラック21以降のスポット信号で再確認しようと思う。
そしてトラック15からトラック20までは音像定位や奥行き感等、音場創生のリアルさが確認できる音源が収録されているが、通常のカーオーディオではこの部分がなかなか難しいはず。
なぜなら、ホームオーディオと違ってカーオーディオの場合は何個ものスピーカーがいろいろな場所に取り付けられ、聴き手の耳からの距離もバラバラな状態。
このスピーカー達から出される音が一つに纏まって、しっかりとした音像を創り上げるというのは至難の業に近いのではないか――― そんな気さえしてくるのだが、さすがはヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステム。これまで聴いて感じていたとおり、音像の定位、音場の広がり、奥行き感‥‥‥どれも素晴らしい表現力で、ホームオーディオ並みの前方定位に仕上げられていることを改めて確認できた。
ちなみにこのCDの解説にも書いてあるように、家のオーディオでどのように聴こえるか、基準になる音と聴き比べることが重要であると思うので、いつも仕事場で鳴らしているシステムでも聴いてみた。
↑スピーカーは昔オーディオ仲間から格安で譲ってもらったDIATONEのDS-1000Z。
これをONKYOのプリメインアンプA-925とDENONのCDプレーヤーDCD-1650ALで鳴らす、という「中の下」くらいの(?)システムだ。
まぁ、ずば抜けて優れたシステムというわけではないが、クセのない音なのでリファレンスとしては十分だと思われるこのシステムと聴き比べても、JBLプレミアムサウンドシステムの創り出す音場はこれと遜色のないものであると感じられた。
そして私が一番確認したいと思っていたのが、トラック21~51に収録された20Hzから20kHzまでのスポット信号による周波数特性のチェックだ。
人間の音の可聴域は20Hz~20kHzの間であるというのが定説となっているが、実際に20Hzの超低周波音や20kHzの超高音が自分の耳で聴きとれるのかどうか、というのも興味があったし、JBLプレミアムサウンドシステムの周波数特性に谷間やピークなどの変動があるのかどうかも確認したかったのだ。
いよいよ20Hzの音から順番に再生してみる。
20HZ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
何も聴こえない。
ボリュームをさらに上げると、音としては聴こえないが、何となく圧迫感というか、空気の震動みたいなものを感じることはできた。
25Hz
空気の震えの他、「ブルブルブルブル‥‥‥」というような低周波音がわずかに耳からも聴こえてくる。
32Hz
「ブ―――ン」というか「ブルブルブル‥‥‥」とでもいうような柔らかな重低音が聞こえる。
空気の震動も伴って、とても心地良い低音に包まれる感じだ。
40Hz
「ブ―――ン」という重低音が32Hzよりもさらにはっきり聞こえる。
空気のブルブル感も加わって、「これぞ重低音」という感覚の真っただ中に居る感じだ。
この空気の震動感は、サブウーファーとその他のウーファーの位相がぴったり合っていないと出せないと思う。JBLプレミアムサウンドシステム‥‥‥流石だ。
50Hz
上に同じ。
63Hz
50Hzまでと比べると「ブ―――」という感じの連続音で、ここまで周波数が上がるともう「重低音」という感じではなくなってくる。
80Hz
助手席ドア辺りで僅かながらビビリ音が発生している(先のスイープ音でビビリ音が出たのはこの周波数付近だったということ)。
ただし、実際に音楽を聴いていてこのビビリ音が気になったことはないが、今後、時間があればドア内部にデッドニング加工を施してみたいと思う。
ここから先は省略して、次は10kHz
「ピ―――」というカン高い音だが、耳障りな感じはあまりない。
12.5kHz
「キ―――ン」というような高周波音がかすかに聴こえるのみ。
16kHz
――――――――――――
何も聴き取れないんですけど!?!?
20kHz
――――――――――――
上に同じ。
‥‥‥という感じのスポット信号再生でしたが、正直これはショックでしたね。
いや、JBLプレミアムサウンドシステムの再生能力の問題じゃなくって、私の耳の問題です。
人間、加齢とともに聴力も落ちて可聴域が狭くなるとは聞いていたのですが、現実に16kHzからもう何も聴こえないとは‥‥‥。
まぁね、もう60歳だし、チェーンソーを使ったり仕事でいろんな騒音にさらされてきてるので聴力が落ちるのは仕方ないんでしょうけど、それをはっきりと確認させられるとやはりショックです。
あ、この聴こえ方、ホームオーディオの方でも同じだったので、JBLプレミアムサウンドシステムの周波数特性的には問題はないと思われる。
全体を通して、周波数によって僅かなバラツキはあるものの概ねフラットな周波数特性という感じのJBLプレミアムサウンドシステムだが、何といっても超低域のパワフルさとやわらかな空気の震動に包まれる心地よさ。これがこのシステムの大きな魅力の一つなっているようだ。
そして、やはり一番優れている点は、左右の音場の広がりや奥行き感の表現力に長けたホームオーディオ並みの前方定位を実現している点だろう。
さらには、中高域の耳に優しい穏やかな音色――― これらが相まって、大音量で聴いても「聴き疲れ」しないサウンドに仕上げられているJBLプレミアムサウンドシステムは、やはり「JBL」のロゴを冠するだけのことはあるプレミアムなカーオーディオであると言えそうだ。
そんなJBLプレミアムサウンドシステムの欠点をあえて挙げるとすれば、高域の「華やかさ」がやや不足しているような気がする点だろうか。
これは「聴き疲れしない音」に関連する要因でもあるわけだが、これがこのJBLプレミアムサウンドシステムの一般的な評価が低いことの一因となっているのではないかと思われる。
というわけで、ヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムの特性を把握できたところで、今後はいろいろなCDを聴いて、その音楽性や音創りについて自分なりの感想をどんどん書いていくつもりでおります。
(「音楽評論家気取りで好き勝手に書きまくる企画」っていうのを以前からずっとどこかでやりたいと思ってたんだよね(^^♪)
↑このサウンドチューニングマスター、カーオーディオを自分で調整する際には絶対におすすめの一品です!!
(6代目ハイエースでカーオーディオに凝りまくってた時にコレがあったら良かったのになぁ‥‥‥)
※JBLプレミアムサウンドシステムに関する記事は以下のタグでまとめてあります↓https://vellfiretranpo.blog.shinobi.jp/Category/4/