前回の記事で書いた通りツインリンクもてぎで土方をした日、翌日のミーティング出席のため車中泊することに決めていた私は、作業を終えた後ホテルツインリンクの「のぞみの湯」で風呂に入り、ホテルのレストランで夕食を済ませた。
そしてヴェル様の中で久し振りに車中泊の準備を整えた後、JBLプレミアムサウンドシステムでDVD鑑賞と洒落込むことにした。
その「上映プログラム(笑)」は、というと――― 私のお気に入りのこの邦画↓
2005年に公開された映画「亡国のイージス」のDVDだ。
2005年かぁ‥‥‥ そう、今からもう14年も前のことになるが、私は公開直後に家族4人で近くの映画館へこの映画を観に行っている。
当時は二人の娘もまだ学生だったのに、今では二人とも結婚しそれぞれ子供を産んで―――その孫たちもすくすくと育ってこの4月には小6と小1になった。そりゃ私も歳をとるわけだ。
おっと、私の個人的な話なんかどーでもいい。亡国のイージスの話だ。
とにかくこの映画ときたら、私のストライクゾーンど真ん中に160km/h越えの直球をズバッと投げ込んでくる名作(←個人的な評価ですが)なのである。
まず、何と言ってもこの私の「フネ萌え」の資質を呼び覚ます「軍艦モノ」であることに加え、ヒコーキ大好きな私のお気に入り・F-2戦闘機も重要な役で出演するのだから、これだけでもう垂涎モノ。ストーリー的にも見応え充分だし、防衛庁(当時はまだ防衛省ではなかった)・自衛隊の全面協力のもと撮影された本物の映像の数々は、もうマニアにとっては「萌え死」に値する作品と言ってもいいだろう。
ただ、複雑なストーリーの原作を約2時間で完結させているため、一回観ただけでは意味が解らない場面が多いのも事実。実際この私も一回観ただけでは満足できず、しばらく経ってからTVで放映されたのを観て、それでもまだ足りずにDVDを買って2度ほど観ているので、今回ヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムで観るのはなんと5回目(!)ということになるのだ。
ここで簡単に作品評をさせていただくと、まず出演している俳優たちがじつに良い。
主役の真田広之はまさに適役という感じで好感が持てるし、「某国工作員」役の中井貴一はもう完全に役になりきっていて、この映画を観た後はもう日本人に見えないし、後半の演技は鬼気迫りすぎていて怖いことコワいこと―――ガクガク(((゜Д゜;)))ブルブル。
それに、当時はまだ無名の新人だった勝地涼が重要な役で出ていてなかなか好演していたのだけど、当時まだ少年のようだったあの男が、今では‥‥‥ホラ、なんだっけ、元AMGだかKGBだかのおねいちゃん(笑)と結婚してパパになったっていうんだから、時の流れっていうのは凄いもんだねぇ(^^;。
他にも佐藤浩市や吉田栄作や、最近キョンキョンと不倫騒動で名前が出てきた豊原功補なんかも出演していて皆それぞれいい味を出しているんだけど、私個人的には総理大臣役の故・原田芳雄の演技がとても良かったと思う。
具体的には、最初は「なんでオレの時に‥‥‥」とか「で、向こうはどう言ってるんだ?」「ワシントンだよ!(-"-)!」などと、あ~いかにも昔の日本の総理大臣にいそうな感じだったのが、最後には自衛隊の最高指揮官として重要な決断を瞬時に下すという役を見事に演じきっていて「流石!」と感心させられた。
あとはもう一人の主役・反乱を起こす自衛官役の寺尾聡も重厚な演技で良かったのだが‥‥‥正直言って見た目が華奢すぎて、ちょっと弱いかな、という印象。この配役はミスキャストだったような気がしないでもない‥‥‥いや、演技は申し分ないんだけどね。
じゃあ誰が適役なのか、って考えてみると‥‥‥ う~~~ん、そうだなぁ‥‥‥ あ、ピエール瀧かな?(爆;;;)
役者以外では、この映画の「主役」として登場する自衛隊のモノホンの装備の数々。最初の方でイージス艦「みょうこう」が劇中の「いそかぜ」として、艦番号175もそのままで「バ―――ン!!」と登場するシーンは、何度見ても鳥肌モノのカッコ良さだ。
そして、物語中盤のクライマックスとなっているのが、「いそかぜ」と僚艦「うらかぜ」の緊迫感溢れる戦闘シーンだ。
大部分がCGではあるが、ハープーンが発射された後、巡航用ジェットエンジンに点火して海面すれすれを急加速し、目標の手前で急上昇した後に急降下して目標に着弾する動きがリアルに描かれていて迫力満点だ。
そして「うらかぜ」が1発目のハープーンを弾着ぎりぎりで迎撃できたものの、直後に発射された2発目で「間に合いません!」「衝撃に備え―――っ!!」と、あっけなく撃沈されてしまう様子は「え!?そこはCIWSの出番じゃなかったの!?!?」とか「たった2発でお手上げって‥‥‥」とか思ってしまったりもするのだけど、これは日本の「平和ボケ」を強調する演出ではないかと思われ、最後に中井貴一が「よく見ろ日本人。これが戦争だ」と言い放つ場面は、日本人なら誰もが戦慄を覚えるような、この映画のハイライトシーンの一つとなっている。
そして、後半で登場するF-2のシーンも、無線交信の様子もリアルで臨場感タップリ。ヒコーキ好きには堪らない場面となっている。
こんな感じで私のお気に入りの「亡国のイージス」ではありますが、細かい事を言えばいわゆる「ツッコミどころ満載」。
そもそも亡国の工作員が十数名も自衛官に成りすまし「GUSOH」なる大量殺戮化学兵器と一緒に最新鋭のイージス艦に乗り込む、なんてことが可能なワケがないのだけど、それを言ったらこの物語は始まらないし、小説や映画って大なり小なりそういう部分があるのではないだろうか。
だから、こういう作品を観る時はクリティカルな見方をせず、細かい事は気にせずにエンターテインメントとしての作品を楽しむようにするべきであろう。
さあ、作品の解説はこれくらいにして、ヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムでこのDVDを鑑賞した感想を書いてみることにしよう。
上の二つの動画は、まさにヴェル様のJBLプレミアムサウンドシステムで再生しているところを撮ったものだが、夜だったので画面以外ほとんど映っておらず、さながら映画館で盗撮したような映像だ(笑)。
サウンドに関しては、これまで様々な音楽を聴いてきた印象通り、極低域からしっかりと鳴らしてくれるJBLプレミアムサウンドシステムの本領発揮という感じで、サラウンド効果と相まって迫力満点の音響を聴かせてくれた。
特に「いそかぜ」航行中の艦内のシーンでは、バックに「ドドドドド‥‥‥」という重低音が響いていて、まさに大型艦の中にいるような臨場感たっぷりの音を体感することができる。
だが、残念ながら満足できたのは音響面だけ。やはり9.2インチという小さな画面では圧倒的に迫力不足で、DVD等を鑑賞するならメーカーオプションの「12.1型リアシートエンターテインメントシステム」は必須であろう。
私もヴェル様発注時にこれも付けようかどうしょうかさんざん悩んだ挙句、運転中には見れないのに17万円も出してリアモニターを付けるのは贅沢以外の何物でもない、という結論に達し注文を見送ったのだが、実際には孫を乗せた時にリアモニターがないとよく見えないみたいだし、リアモニターを追加すればリモコンも付いてきていろいろ便利だと思われるし、今ではこのオプションを選択しなかったことを猛烈に後悔している。
というわけで、次のクルマを発注する時には必ずリアモニターも付けようと心に決めている私でありました(←いつ買い替えられるかまったく予定が立っていないけど(^^;)。
最後に、この映画全編を観た感想を書かせていただくと、背景に「平和ボケ」の日本に対する危機感のようなものがあり、決して自分から攻撃することのできない「専守防衛」の自衛隊の現状に対する皮肉も込められているように感じられた。
あれから14年が経った今観ても、現在の日本の置かれた状況はまったく変わっていないし、「守るべき国家は存在しないのではないだろうか」という問いかけに同意してしまいそうな自分もいる。
まぁそういう難しい話は別にして、この映画は先にも書いた通り防衛庁・自衛隊の全面協力のもと制作されただけのことはあって、ストーリー上のツッコミどころは別として自衛隊の艦船や航空機等の描写はホンモノで、それだけでも充分に見る価値がある映画だと思う。
特に、エンドロールの最後の方に「防衛庁」以下、協力した自衛隊各部隊の名称がズラッと並ぶところは圧巻で、この物語の余韻とともに鳥肌が立つような感動を覚える。
この映画は私の中では間違いなくナンバーワンの名作だと思う。
余談になるが数年前に、自衛隊も出てくる「ヘリが主役」の映画があったんだけど、こちらは自衛隊の協力が得られなかったこともあり、もう「クソ映画」と言ってもいい酷い出来栄えになっていた。
機会があれば、その映画についても書いてみたいと思っているのだけど‥‥‥ 無理かな???