前回のこのシリーズで書いたカペラとチェリーが発表されたのは1970年の事でしたが、この年は関東近辺に住むカーキチにとってビッグニュースが飛び込んできた年でもありました。
そう、筑波サーキットがこの年の6月にオープンしたのである。
↑オープン当時の筑波サーキット。仮設スタンドのような観客席‥‥‥(@_@;)
カーキチとして当然レースにも興味があった私ではありますが、それまで一番近いサーキットといえば富士スピードウェイで、中学生が行くにはちょっと敷居が高すぎた。
そこへ飛び込んできたのが筑波サーキットOPENの話。カーキチとしてはもう放っておけないビッグニュースだったので、本屋さんへ行ってレース関係の雑誌を片っぱしから立ち読みし(←立ち読みしないで買えよ、というツッコミはご遠慮ください)情報をかき集めたのだが、住所が茨城県結城郡千代川村(現在は下妻市)‥‥‥行動範囲が狭い中学生にとって、どのあたりに存在するのか皆目見当がつかなかったが、それは「ど田舎」なのだろう、ということはなんとなく想像がついた。
そんなある日、例の「試乗会荒らし」でも行動を共にしていたカーキチな同級生の一人が「筑波サーキットの行き方調べたから今度一緒に行こうぜ」というので、いつもの3人組で鉄道とバスを乗り継いで、ついに「筑波サーキットデビュー」することになったのである。
鉄道を利用する場合、われわれカーキチ中学生トリオの住む地域の最寄り駅は東武鉄道大師線の大師前駅だったのだが‥‥‥まずこの「大師線」ってのが、これだけで一つのネタとして記事が書けてしまうような珍しい路線(詳しくはこちらをご覧ください→
足立区観光協会の大師線紹介記事)だったのだけど、乗ったと思ったらすぐにまた乗り換えとか不便このうえなかったので、鉄道利用の場合はバスか自転車で「足立区随一の繁華街」北千住まで行く、というのが定番となっていた。
で、北千住駅で常磐線に乗って柏へ行き、そこで東武野田線に乗り換え、野田市駅で下車。
野田市駅からは茨城急行の路線バス―――行き先はよく覚えていないが下妻か下館だったと思う。いずれにしてもかなりの長距離路線バスであった―――そのローカルバスに乗って、村岡というバス停(だったと思う)で降りれば、すぐ近くに目的地・筑波サーキットがあったと記憶しているが‥‥‥ とにかく遠くてしかも「ど田舎」という印象。バスも1時間に一本あるかないかの便数しかないし、着いたと同時に帰り道のことを考えて憂鬱になってしまう、そんな長旅であった。
だが、初めてサーキットでレースカーが疾走する姿を間近で見ることができた我々カーキチ中学生トリオは大興奮!!体に響くエキゾーストノートと鼻をつくオイルの焼ける匂い――― これがレースの世界か‥‥‥と、その雰囲気に酔いしれてしまったのであります。
‥‥‥え!? で、どんなレースを観たのかって???
我々ビンボー中学生トリオにとって、入場料を払わなければ観られないレース観戦なんて高嶺の花(?)、タダで観ることができた「練習走行」で大満足していたんですねぇ。
初めて味わうレース場の雰囲気に大いに興奮させられた私たちではありましたが、帰りの長~い道のりを考えると、そんなに長居をするわけにはいかなかった。
我々は後ろ髪引かれる思いで、まだ陽の高い筑波サーキットを後にしたのであった―――。
翌日、中学校で顔を合わせたカーキチトリオは、長旅の疲れも忘れ、初めての筑波サーキットでの興奮冷めやらず、といった感じで「また行こうぜ!!」と大いに盛り上がった。
だが、電車とバスの長旅はもうこりごり、という気分だったので「今度は自転車で行こう!!」ということになった。
そして何週間か後の、やはりレース開催日じゃない日曜日にわれわれカーキチ中学生トリオは自転車を漕いで2度目の筑波サーキットを目指したのだったが――― 片道約40kmの筑波サーキットへの道のりは、自転車で行くにはやはりちと遠かった。
遠いだけならまだいいのだが、途中利根川に架かる
芽吹大橋が道幅が狭いうえに大型のトラックやダンプカーがビュンビュン通り、自転車を必死に漕いでいるすぐ脇を猛スピードで追い抜いて行くので、ものすごく恐怖を感じてしまったのだった。
(今の芽吹大橋はすぐ下流側に歩行者・自転車専用の側道橋が架けられているが当時はまだなく、歩行者・自転車は狭い車道の端っこを危険な思いを強いられながら通行しなければならなかった)
結局2時間程度で無事に筑波サーキットに辿り着くことはできたのだけど、帰りはまたあの「恐怖の芽吹大橋」を渡らなければならないのか‥‥‥ と憂鬱になってしまう2度目の「筑波サーキット詣で」でありました。
―――とまぁこんな感じで、「交通アクセスの不便さ」が原因でそれ以降筑波サーキット見学に行くことはなかった我々カーキチ中学生トリオですが、この時見た「スズキフロンテ360SS」と「ホンダN360」のレース仕様の「魔改造」っぷりは、強烈なインパクトでしっかりと脳裏に焼き付けられております(その話はまた次の機会に書かせていただきます)。
その記事はこちら↓
https://vellfiretranpo.blog.shinobi.jp/Entry/114/